家事代行はエシカル(道徳的)じゃない?なら主婦搾取はどうなのよ

家事代行はエシカル(道徳的)じゃない?なら主婦搾取はどうなのよ

先日、家事代行について調べていたらこんな記事を発見しました。

・米国の女性エリートが「家事代行」を使わない2つの理由

この記事の内容はおおまかに言うと以下のとおり。

アメリカのエリート層女性は家事代行を使わず、働きながら家事をするスタイルにシフトしている

→理由その1:家事代行を使うと子どもの生活力が育たない

→理由その2:家事代行を請け負う移民・若者・中下流層を安価な価格で使うのは搾取である

まとめ:エシカル(道徳的・倫理的)な消費・生き方を考えてみよう

誤解のないように言うと、この記事のメインは「エシカルな消費・生き方を意識してみよう」というメッセージであって、家事の外注をすべて否定しているわけではありません。

しかし、記事の前提として家事の担い手が母親限定であることや、他人を頼らないことを賞賛するような流れは、「日本の母親の現状を知って言ってる?」と疑問を感じます。

生活が忙しかったり育児に追われたりしている人に、「アメリカのエリート女性は一人でやりますよ」と追いつめるのはエシカルではないでしょう。

また、問題として上げられている点が日本には全然当てはまりません。

家事を外注すると子どもの生活力が育たない?

家事を外注することと、子どもの生活力が育つのは別の問題。というか、極端すぎませんか。

アメリカのエリート女性がどれくらい家事代行を利用しているかのデータが見つからなかったけど、家事を週に7日、住み込みレベルで外注していない限り、親が家事をまったくしないことなんてはないはず。

また、生活力をつける=家事ができるようにするのは教育の一つとして、ちゃんと教えてあげればいい。
家事をしている姿を見せていても、子どもが全員家事ができるようになるわけじゃないんだから。

家事をこなすことと、やれば自分も含めた家族が快適に過ごせる「家事」を教えるのはまったく別問題だと思うんです。

日本の家事代行スタッフは搾取されてないと思う

「家事代行を利用するのはエシカル(道徳的)じゃない」という問題も日本には当てはまりません。

日本の家事代行スタッフの時給は、一般的なアルバイトの中では高めです。

たとえば、家事代行のCasy(カジー)ではスタート時の時給を1,450円としていますし、タスカジのような家事代行のマッチングサービスでは自分で時給を決められます。(1,500円〜2,200円くらいが相場)

日本の家事代行スタッフは搾取される存在ではないのです。

むしろ、生活の中で磨いたスキルを活かせる、キャリアを諦めざるを得なかった人でも人気次第で高時給が見込める仕事。

アメリカのエリート女性がエシカルな面から家事代行を使わないと言うなら、消費に対して呼びかけるのではなく適正な給与が支払われていないことに声を上げたらどうだろう。

日本は主婦に家事負担が集中しすぎ

そもそも、日本とアメリカでは家事についての考え方が違います。

アメリカでは家事代行やベビーシッターを利用するのは一般的なこと。日本ではまだまだ一般的とは言えません。

日本で家事代行が普及していない理由には、「散らかった家を他人に見せたくない」、「所得に対して価格が高い」など様々なものがありますが、その一つに「家事は母親がやるべきもの」という呪縛があるように思います。

家事負担率

引用:放送研究と調査 2015年12月号

2012年に国際比較調査グループISSPが実施した調査では、日本では夫婦のうち妻の家事負担率が他国と比べて非常に高いことがわかっています。

男性の家事時間は調査対象となった33か国の中でも最下位。日本は先進国のはずなのに、「家事は女性が担うもの」という意識が根強いのです。

今は少しずつ意識が変わってきてはいるものの、日本では昔から家事は女性がするのが当たり前とされてきました。

そして、家事に手をかけることは愛情であり、仕事ではないと思っている人も非常に多いのではないでしょうか。

負担を負担として認識できていないから、「家事を外注するなんて甘え」、「家事代行を使うなんて世間体が悪い」という考えから抜け出せないのです。

この考えがある限り、母親一人がキャパオーバーしながら家事をする家庭はなくなりません。

単純に、夫が家事を行えば良いのか。家事は夫婦で、家族で行うものという常識が広がればそれは良いことです。しかし、長年培ってきた「家事は妻がすべきもの」という意識から抜け出すのは簡単ではないでしょう。

家庭内搾取をなくしていこう

性別を理由に、負担が一人に集中することは健全ではありません。

まずは家事の負担を、負担として正しくとらえること。
男性だけでなく、女性も。

家事を仕事としてとらえれば、「家族内で一人に負担が集中するのはおかしい」と思えるはず。

そのうえで、時間的に余裕のある方がやる、得意分野で分担して行う、外注する、休日に一緒にやるなど、家族それぞれのやり方で選んでいければいい。

日本は「家事代行を使うのはエシカルでない」なんてステージにいないのです。エシカル(道徳的)という気持ちに訴えかける言葉を使って揺さぶるのはやめて欲しい。「家事を外注する」という選択をとるのに、勇気が必要な人も多いのだから。

 

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